機械学習が選んだ34個の標的で作るがんワクチンが、第3相を通った
Merck と Moderna が2026年8月19日、第3相 INTerpath-001 試験で主要評価項目を達成したと発表した。intismeran autogene と KEYTRUDA(ペムブロリズマブ)の併用である。
対象は完全切除後のステージIIB〜IV のメラノーマ。**無再発生存(RFS)と遠隔転移無発生生存(DMFS)**の両方を達成した。
AIが何をしたのか
intismeran autogene は、患者ごとの腫瘍の変異に基づいて作られる個別化ネオアンチゲン治療である。工程はこうなっている。
- 手術で摘出した腫瘍組織を全エクソームシーケンスとRNAシーケンスにかける
- 機械学習アルゴリズムが、その患者の腫瘍に固有のネオアンチゲンを最大34個特定する
- 選ばれた配列をmRNAとして合成し、投与する
- 体内で翻訳され、通常の抗原提示の経路に乗る
つまり AIが担っているのは「何を標的にするか」の選定である。作用機序そのものではない。
なぜこれを取り上げるか
個別化ネオアンチゲン治療として、そして mRNA がんワクチンとして、第3相を通ったのは初めてとされている。
AI創薬でよく問われるのは「候補は出るが、外部の厳しい検証を通るのか」である。治験はその検証のうち最も高価なものにあたる。そこを通った事例が出たという位置づけになる。
数字と結果はすべて Merck の発表に記載されているものである。